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第3章 スキー場管理者の責務

一般財団法人日本鋼索交通協会
〒111-0056
東京都台東区小島2丁目18番15号 
新御徒町妙見屋ビル3階
TEL.03-3866-3163
FAX.03-3866-3164

スキー場からのお願い

公益財団法人 全日本スキー連盟 
公益社団法人 日本プロスキー教師協会 
日本スノーボード協会 
一般財団法人 日本鋼索交通協会 
全国スキー安全対策協議会

文章(+イメージ)

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 第3章 スキー場管理者の責務

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1 スキー場の管理
 (1) リフト・ゴンドラ等の索道施設の管理は、鉄道事業法および国土交通省作成の「鋼索鉄道・
   索道事業者等における安全管理の進め方」(註9)にもとづいて索道事業者が行う。
 (2) ゲレンデの管理は、スキー場管理者が設置したスキー場安全対策委員会が行う。
   スキー場安全対策委員会が設置されていないスキー場においては、スキー場管理責任者が
   直接これにあたる。

2 情報の提供
 (1) スキー場マップの作成
    スキー場管理者は、スキー場マップを作成し、いつでもスキーヤーに提供できる状態にしておく。
    スキー場マップには次の事項を掲載する。
  ① スキーヤーに対する注意事項
   ⅰ このスキー場でスキーをなさる方へ(告知)(註10)
   ⅱ スキー場の行動規則(註11)
   ⅲ リフト利用時の注意(註6)
   ⅳ スキー場独自の呼びかけ
  ② スキー場境界線と立ち入り禁止区域
  ③ リフト券発売所、スキースクール受付
  ④ コースおよびリフト・ゴンドラ
  ⑤ コースの難易度(初級=緑、中級=赤、上級=黒)
  ⑥ パトロール詰所と電話番号
  ⑦ トイレ、レストラン、休憩所
  ⑧ その他
 (2) スキー場管理者は、コースの閉鎖・気象警報の発令・雪崩発生の危険など、ゲレンデコンディションが
   異常な状況にあるときには、掲示・場内放送等を通じていち早くスキーヤーに情報を伝えるとともに
   必要な措置を講じなければならない。

3 注意事項の掲示
 スキー場管理者は、本基準第3章2(1)①に掲げる事項について、スキー場内にあるリフト券発売所、
 スキースクール受付、スキーヤーが最初に乗るリフト乗り場に掲示しなければならない。

4 スノーパークの管理
 (1) スノーパークは、ロープ・ネットなどを用いて一般のコースと区別する。
 (2) スノーパークの区域は、ゲレンデマップに明示する。
 (3) スノーパーク入口付近あるいはスノーパーク内に、利用にあたっての注意書を掲示する。

5 危険物の表示(註12)
 (1) 通常の視界条件(日中、場合によっては夜間でも降雨・降雪のない天候状態)のもとで30m手前から
   視認しにくい障害物があるときは、コース内またはコースに隣接する箇所に「危険」、「SLOW」、
   「SPEED DOWN」等の表示をして、スキーヤーに注意を促さなければならない。
 (2) スキー場管理者は、スキーヤーが前項の障害物に衝突して大きな事故となるおそれがあるときには、
   障害物にマット等の緩衝具を取り付けなければならない。

6 雪上車両の運行
 (1) 雪上車両とは、圧雪車(ゲレンデ整備車)・雪上車・スノーモービルその他雪上を走行する車両をいう。
 (2) 雪上車両の運行は、一般財団法人日本鋼索交通協会・全国スキー安全対策協議会が定める
   「雪上車両の安全運転マニュアル」(註13)に従って行う。
 (3) 圧雪車
  ① 圧雪車の装備
   ⅰ ヘッドライト
   ⅱ テールランプ
   ⅲ 警音器
   ⅳ 回転警告灯
  ② 圧雪車の運行
     圧雪車(ゲレンデ整備車)を運行するときは、前項の装備をすべて点灯・作動させる。ただし、
     コースを閉鎖しているときや夜間その他の場合で、警音がなくても十分に安全が確保できると
     判断されるときは、警音器の作動を省略することができる。
  ③ 救急活動・コース整備などスキー場の管理上やむを得ないときを除き、原則として営業時間外に
     運行する。
     スキー場管理者は、状況に応じて次の措置をとる。
    ⅰ 場内放送などを通じてスキーヤーに雪上車両の運行を知らせる
    ⅱ コースの閉鎖
    ⅲ 誘導員の配置
    ⅳ その他

7 雪崩の管理
 (1) スキー場管理者は、コース内に雪崩の危険が及ぶと判断したときは、直ちにコースの全部または
   一部を閉鎖し、スキーヤーを安全な場所に誘導しなければならない。
 (2) スキー場管理者は、雪崩が発生したときに迅速な救助活動が展開できるよう必要な人員と装備を
   整えておかなければならない。

8 秩序の維持(註14)
 スキー場管理者は、スキーヤーが他人の迷惑となるような行為をし、注意されてもなお改めないときは、
 そのスキーヤーに対してスキー場からの退去を求めることができる。

9 事故原因の調査
 (1) 事故が発生したときは速やかに救護にあたる。
 (2) 事故の状況を記録し保管するとともに、関係者から求められたときにはこれを 提示しなければならない。
 (3) 重傷・死亡事故については、事故の原因を調査し、同種事故の再発防止に努める。

10 スキー場管理者の安全対策の限界
 スキー事故裁判でスキーヤーがスキー場管理責任を問題とするとき、ほとんどの場合、
 民法第717条の「土地工作物の瑕疵」を問題としている。
 しかし、スキー場管理者がなすべき安全対策は、スキーヤーがこの基準で定めるルールを守って
 行動していることを前提とするものであるから、スキーヤーがルールを守らずに引き起こした事故に
 ついてスキー場管理者が責任を問われる理由はない。(註15)


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